NSDA(National Spasmodic Dysphonia Association)

USANSDA( National Spasmodic Dysphonia Association )は、イリノイ州シカゴに本拠を置くフルタイムの、

いわゆるプロのサポートグループです。その
NSDAの発行するパンフレットの 日本語訳です。

NSDAは、
ANDA( Affiliated National Dystonia Associations) というジストニア全般のサポートグループの下部組織で、

文字どおり痙攣性発声障害の患者さんのみに特化した活動をおこなっている グループです。

このパンフレットを発行しているのは、
Dystonia Medical Research Foundationという、

NSDAと同じくANDA傘下の団体で、SDに限らず、 すべてのジストニア・サポートグループへの基金を 統括しているグループです。

(※この和訳は2000年頃のパンフレットを元に行われています。最新の情報は入り次第更新していきます。)



National Spasmodic Dysphonia Association(USA)

パンフレット日本語全訳



 @ ジストニアとは何か?

 
ジストニアは、しばしば起こるねじりの運動・反復運動・異常な姿勢が原因となる筋肉の収縮の持続である。

それらは、規則正しい、あるいは不規則な速さで痙攣し、筋肉の収縮を重ねる。

ひとつ、あるいはいくつかの体の部分に現れ、しばしば痛みを伴うこともある。


A 痙攣性発声障害とは?

 
Spasmodic Dysphonia(痙攣様発声障害)は、また、Spastic Dysphonia(痙攣性発声障害)

Laryngeal Dysphonia(喉頭の発声障害)としても知られている。

それは、
Focal Dysphoniaのひとつの型である神経の障害であり、発声に必要な喉頭の筋肉が冒されるものである。

まぶたの痙攣や、痙攣性斜頚のような他の運動障害のように奇異な不随意の運動が特徴である。

痙攣性発声障害では、声帯の筋肉が引き締まり話すのに努力を要するようになり、そのためにしばしば緊張したり、不安になったりする。

その時声は震えたり、無気音が混じりすぎたりする。あくびをしている時、笑っている時、歌っている時には、改善あるいは症状が現れないが、

電話で話し続けるような明らかな負担によって症状が悪化することがある。痙攣性発声障害は、ストレスが原因ではない。

喉頭炎、声の酷使、咽喉カタル、あるいは心因性の障害を含むよくあるほかの誤診を認めてはいけない。


B 痙攣性発声障害には2つの型がある

 
医師は、2つの型の痙攣性発声障害を認めている。

より一般的な内転筋型は、話す時に声帯に同時に起こる無意識の筋肉の過度の収縮が原因である。

これは、緊張・不安によるもので、本来の声を詰まらせる。話しが変わったり、突然口をはさむ時にしばしば突然起こり、終わる。

外転筋型は、それぞれの声帯の筋肉が別々に収縮しすぎることによって、むらがあり、息漏れの多い、ささやき声になる型である。

患者のなかには、無意識の筋肉の収縮によって、不規則に声が震える者もいる。


C 痙攣性発声障害の原因

 
多くの場合、SDの原因は知られていない。いくつかは、SDの症状の始まりは声帯の外傷が原因となる場合もある。

SDの症状の原因に関しては、大脳基底核と呼ばれる脳の一部の異常な働きによるものであると考えられている。


D どのように診断されるのか?

 
SDは珍しい病気であり、しばしば声の酷使や、声の緊張と間違えられる。

なぜなら、
SDに類似した他の病気がないので、特徴的な臨床の症状や徴候に基づく決定的な病気のための検査や治療がないからである。

ほとんどの患者は、ジストニアの他の徴候や、他の神経の病気を注意深く調べる神経科医によって、

あるいは、声帯やそれらの運動を診療する耳鼻科医や、声の発声や性質を評価するスピーチ言語学者に評価される。

SDの症状は、ジストニアの他の徴候と結びついている。ジストニアの他の型は、過度のまばたきや、

意思に反した目の閉鎖が特徴のまぶたの痙攣、頭や首の異常な運動や姿勢が特徴の首の運動障害や、

痙攣性斜頸、握力の異常や、書く時の手・腕・肩の異常な姿勢と結びつく書けいがある。

ほとんどの場合、
SDは依然としてFocal Distoniaとして制限され、孤立したままである。

しかし、一般化された場合は、ジストニアは体の多くの筋肉を冒すことになるだろう。

これらは、時々回復することもある。ジストニアの症状は、一生の間のどの時点でも発生しうるが、
40~50歳くらいの人々の間で多く始まる。

報告された事例によると、
SDはわずかに男性より女性に多く起こるようである。

数名の患者に遺伝の疑いがある。なぜなら他の家族の人々がジストニアの徴候や症状をいくつか体の他の部分に持つことがあるからである。


E 現在の治療

 
SDという病気が知られるようになって以来現在までその原因に関する(決定的な、あるいは明らかな)手がかりは得られていない。

SDの症状を和らげるための身体的療法(音声治療、リラクゼーション治療)は、ほとんどの人々に長期間の効果はなかった。

しかし、音声治療は、
SDのいくつかの症状を軽減する重要な役割を果たすだろう。薬物治療は、症状をわずかに軽減させる。

外科手術の治療(回帰性喉頭神経の切断)の研究では、手術後
3年間で64%は改善せず、48%は外科手術の前より悪化したことがわかった。


F ボツリヌストキシンの注射

 
声帯の筋肉へのボツリヌストキシンの局部注射は、SDの患者に最も効果的であることが立証されている。

ボツリヌストキシンは、クロストディウム ボツリヌス バクテリアによって作られる。ボツリヌストキシンの有効性は単に麻痺を引き起こすのではなく、

筋肉の不必要な痙攣を弱くすることにあるようだ。それは、筋肉の神経間の伝達を阻止することによって働く。

声帯の筋肉に薄めたボツリヌストキシンをごく少量注射すると、
SDの症状が除かれ、声質が著しく改善される。

注射の後、ボツリヌストキシンの効果は
3~4カ月持続する。

2つの最も一般的な副作用は、ものを飲みこむことが困難になることと、息漏れが増えることである。

両方とも、注射の後、たいていわずか
6~12日間続く。

ボツリヌストキシンはすべての病気に効果があり、喉頭生理学や解剖学の教育を受けた専門医にボツリヌストキシンを投与されるべきである。

現在の情報に基づいたボツリヌストキシンは
SDの、ほとんどの事例の治療選択肢となっている。


G 痙攣性発声障害は遺伝によるものか?

 
ある研究では、家族のDystonia ジストニアの病歴者は、SDの患者のおよそ2%にみられた。

ジストニアの症状が喉頭に現れた事例がいくつかある。そして他は、体の他の部分に関連している。

家族のジストニアの病歴は、若い年齢から始まる。いくつかの家族性ジストニアの原因となる遺伝子は、染色体yにおかれている。


H 治療の支援

 
家族や友人からの支援は大切である。

数千人の人々が同じ症状で苦しんでいる。
Dystonia Medical Research Foundationが、サポートグループを持っている。

苦しみを分かち合う支援グループの会合は、患者やその家族を元気づけるだろう。

最新の治療や医学の促進は、支援グループにも提供されている。

 



LAST UPDATE 2009-12-01