The Spasmodic Dysphonia Support Group (AUS) Inc.

オーストラリアSDの会が発行するパンフレットの日本語訳です。

オーストラリアにある
SDの会は、シドニーを中心に、メルボルン・ビクトリア・パース ・西オーストラリア・ブリスベン・クイーンズランドや

タスマニアなど、オーストラリア全域に支部を持ち、他にオークランド・ニュージーランドにも支部をもっています。

1991年にシドニーのSt.Vincent's病院で、Dr.DarvenizaによってBOTOX注射治療が始まり、

それを契機にサポートグループが 発足しました。

会長は
Cynthia TurnerさんというSD患者の女性です。 会の補佐役に2人の言語聴覚士(ST)が在籍しています。

会の活動としては、年
3回の定例ミーティングや、社会活動をおこない、ミーティングを 開催するたびごとに会報(Newsletter)を発行しています。

また、アメリカやイギリスのサポートグループと会報を交換するなどの交流があります。



The Spasmodic Dysphonia Support Group (Aust) Inc.

パンフレット日本語全訳



  
Spasmodic Dysphonia (痙攣性発声障害)とはどんなものか?


以前は、
Spastic Dysphonia (痙攣性麻痺発声障害)として知られていた。痙攣性発声障害は珍しい声の病気である。

ジストニアの一種であり、突発的な筋肉収縮によっておこる神経性の病気である。SDはまた喉頭のジストニアともいわれている。

ジストニアは運動神経の病気であるが、脳の機能には全く影響しない。

それゆえに
SD患者は知力、性格、記憶力、感情、視覚、聴覚、知覚すべてが全く正常である。

ジストニアは目、首、手など身体のあらゆる場所に起こりうる病気である。非常に多くの場合、

SDは突発的に声帯の閉鎖を引き起こす。その結果、首をぎゅっと締めつけたような話し方になり、声が割れる(adductor SD)。

また、まれなケースに突発的に声帯が開く
SDがあり、会話をしている間断続的に無声を引き起こす(abductor SD)。 

痙攣性発声障害は、あらゆる年代層とそしてあらゆる生活環境の男女に発病しうる。

自由に流れるように会話ができないということは、社会生活や幸福感に影響をもたらし、孤独感や絶望感を引き起こす。


 
 SDの原因は何か?


SD
の原因はまだ解明されていない。だが、ストレスや疾病が引き金になることが多い。

研究では、基礎神経節の内分泌作用の不均衡、あるいはからだの筋肉の等位動作が脳の一部に影響しているということが、

SDの原因ではないかと考えている。他のジストニアと同様に、疲労やストレスが症状を悪化させる傾向にある。


 
 どのような研究がなされているか?


研究の最終目標は
SDの原因をつきとめることにある。

それにより発病を防ぎ
SD患者の治療、より前進した治療法を見つけ出すことができる。

科学者たちは、より良い治療法を模索しており、現在の
SD治療の効果をより高めるための研究をしている。

ジストニア発病の原因究明は、医者やヘルスワーカーに
SDが発病しうる危険性のある人を見分ける手がかりを与える。

他の研究者たちは、痙攣性発声障害の精神的効果について調べている。

現在の最新の新聞記事がシドニーの
St Vincent's病院、Speech Pathology Departmentに保管されている。

それらは
SDサポートグループを通して得ることができる。


 
 どのようにして診断されるのか?


SD
は稀な病気で、症状は多くの音声の病気と間違われやすい。

正確な判断には
SDを取り扱っている経験豊かな言語病理学者、耳鼻咽喉科の専門医、神経学者の診断が求められる。


  
何が成されるべきか?


まず、正確な診断が基本となる。これにより、患者の挫折感や不安が軽減され、いくつかの治療法の選択の道も開ける。

詳しい喉頭の検査の後、耳鼻咽喉科の専門医は、さらに進めた治療法を
SD患者に施す。

言語病理学者は、
SDの見極め・診断・治療に関与しており、情報や励まし、

また
SD患者をより効果的に助けるための意見を提供している。

音声療法は、何人かの
SD患者にとっては効果がある。多くのSDの症状は、ストレスや疲労によって悪化すると考えられており、

ストレスコントロールやリラクゼーション療法は
SD患者が病気と共存するのをより楽にするのではないかと考えている。

神経学者は、ボツリヌストキシンの局部注射を行うという薬物療法を試行している。


  
ボツリヌス療法とは何か?


声帯の筋肉にボツリヌストキシンの局部注射を行うと効果があり、音声の質を改善する。

だが、
SDの症状を一時的におさえるにすぎない。

ボツリヌストキシンは、筋肉をおよそ
3~4カ月の間弛緩させ、その後再度注射が必要となる。

ボツリヌストキシン療法を長期間続けることについての副作用はまだ知られていないが、一般的には耐性がある。

最近の情報によるとボツリヌストキシンの注射は、多くの
SD患者の治療法のひとつにあげられる。

これらの注射と同時に、音声療法も効果的な結果をだしている。

新しい技術が探索されているが、現状では外科手術はあまり好ましくない。

The Spasmodic Dysphonia Support Group (Aust) Inc.

     このサポートグループは、教育・社交上の会合として定期的に集まっている。

     ・サポートおよび州間の情報ネットワークの充実
     ・ニュースレターを広めること
     ・ 教育およびコミュニティー意識を高めること
     ・ 研究の推進および最新情報を得ること
     ・
SD患者の擁護